近年では様々な趣向を凝らしたバーがありますが、その中でも、IR実施法案の成立も追い風となり現在最も注目の大人の遊び場、アミューズメントカジノバーの許可について解説します。
ポーカーに関する動画配信や遊び方をレクチャーする店舗の増加など、まだ日本では馴染みのないポーカーが流行する兆しが見て取れます。
接待?遊興?と線引きの難しい許可になりますので、知っておくべき法的知識についてもなるべくわかりやすくお伝えできればと思いますのでぜひ最後までお読みください。
- これからアミューズメントカジノバーの開業を考えている方
- すでに営業中の店舗にアミューズメント施設を導入しようと思っている方
- アミューズメントカジノバーについての許可や要件等を知りたい方
そもそもアミューズメントカジノバーとは?
アミューズメントカジノバーという名称は、なんらかの法律の条文できちんと定義されているわけではありません。アミューズメント施設とバーが一体化した複合型の飲食店の、便宜上の呼称になります。
アミューズメントカジノは、簡単に言うと換金できないカジノになります。
一般的に海外のカジノでは、チップを購入した後にゲームをプレイし、増減したチップを換金して帰りますが、アミューズメントカジノでは、最後の換金がありません。カジノが禁止されている日本ならではの業態ですね。
アミューズメントカジノは賭博性のあるサービスを提供することはできず、換金だけでなく景品と交換することも認められていません。例えば、チップを店内のドリンク代として交換するシステムもNGです。
カジノが禁止されているならアミューズメントカジノの許可はどうなのか?という事になりますが、アミューズメントカジノはゲームセンターのような立ち位置であり、同様の営業許可を取って営業する事になります。
アミューズメントカジノバーの営業に必要な許可
アミューズメントカジノバーの営業を始めるためには、飲食店営業許可のほかに、風俗営業5号許可を受けておかなければいけません。基本的には、ゲームセンターのような施設が該当しますが、アミューズメントカジノの場合にも適用されています。
射幸心をそそるおそれのあるゲーム機や施設を設置することによって、賭博を誘発するおそれがあったり、未成年の子供が犯罪行為を行う原因になるおそれがあるからです。
しかし、同じようなゲームであっても、ビリヤードや通信型麻雀、バッティングセンター、ガチャガチャなどは対象外のゲーム機であると考えられています。客の射幸心をそそるおそれのないものは、風俗営業による規制の対象ではありません。
また、ショッピングセンターやデパート、ホテル、旅館などの一角に、一定の条件でゲームコーナーを設ける場合には、風営法の適用を受けません。
さらに、大阪府においては風俗営業1号許可も受ける必要があります。
1号許可が必要かどうかは「接待」の有無によって判断されますが、アミューズメントカジノの場合、「個別少数の客に対し、ディーラーが付いてゲームの進行を行う」ことが、客と一緒に遊技を楽しむ行為に当たるとして「接待」に該当する、という考え方のようです。
営業の許可されない人
人的要件
人的要件とは、風俗営業許可を受けようとする申請者や管理者自身の、風俗営業を行うための条件を定めたもので、以下の事項に該当しないことが条件です。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない人
- 一定の法律に違反して懲役刑や罰金刑に処せられ、執行を終わるなどしてから5年を経過しない人
- 集団的や常習的に暴力行為や不法行為を行うおそれのある人
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤の中毒者
- 心身の故障によって風俗営業の業務を適正に実施することができない人
- 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない人
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年
風俗営業の許可要件に関してはこちらに詳しくまとめてあります。
営業できる場所
場所的要件
大阪府で風俗営業を営むことができるのは、例外(後述)を除き、下記の用途地域内にある営業所になります。
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
- 無指定地域
これらの用途地域内にあって、「保全対象施設」と営業所の距離が一定以上離れている必要があります。
保全対象施設とは
大阪府の条例により、次のような施設が保全対象施設として定められています。
申請する営業所の場所が、保全対象施設の敷地から100m以内(商業地域内にあっては50m)の距離にある場合には、風俗営業の許可は下りません。
- 学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校)
- 認定保育所・幼保連携型認定こども園
- 病院
- 診療所(入院施設を有するものに限る)
保全対象施設からの距離制限を受けない地域
風俗営業を営むためには上記のように「用途地域」と「保全対象施設」の両方の要件を満たさないといけません。
しかし、大阪府の場合それらの制限を受けることなく、営業所の所在する場所だけで場所的要件を満たすことができる地域があります。
大阪市北区
・梅田一丁目(1番から3番までおよび11番にかぎる)・角田町(1番および5番から7番までにかぎる)・神山町(2番から10番までにかぎる)・小松原町・曽根崎一丁目・曽根崎二丁目・曽根崎新地一丁目・太融寺町・兎我野町・堂島一丁目・堂島浜一丁目・堂山町(1番から13番までおよび16番、17番にかぎる)および西天満六丁目の地域
大阪市中央区
・心斎橋筋一丁目(5番および6番にかぎる)・心斎橋筋二丁目・千日前一丁目・千日前二丁目・宗右衛門町・道頓堀一丁目(1番から10番までにかぎる)・道頓堀二丁目・難波一丁目・難波二丁目・難波三丁目・難波四丁目・西心斎橋二丁目(3番から8番までおよび13番から16番までにかぎる)・東心斎橋一丁目(5番、6番、15番および16番にかぎる)および東心斎橋二丁目の地域
これらの地域はいわゆる繁華街であり、保全対象施設と風俗営業店舗が混在し、法の執行が難しいという観点から、保全対象施設が近隣にあったとしても、関係なく風俗営業が可能です。
用途地域の例外
前述した風俗営業の可能な用途地域では、原則風俗営業の許可は下りません。しかし、「第2種住居地域」と「準住居地域」に限っては、下記の条件を満たした場合、例外として営業が可能になります。
ただし、その場合でも保全対象施設からの距離制限は受けますのでご注意ください。
- 営業所が一定の国道や府道の側端から25m以内にある場合
- 営業所が一定の鉄道線路の各駅の出入口周囲50m以内にある場合
店内の構造
アミューズメントカジノバーの営業許可を受けるためには、店内の構造についても様々な制約があります。
- 客室の内部に見通しを妨げる設備がないこと
- 善良の風俗または清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告、装飾その他の設備を設けないこと
- 客室の出入口(営業所外に直接通じる出入口は除く)に施錠の設備を設けないこと
- 営業所内の照度が10ルクス以下にならないよう維持されるため必要な設備を有すること
- 騒音または振動の数値が一定の数値に満たないよう維持されるため必要な設備を有すること
- 遊戯料金として紙幣を挿入することができる装置を有する遊戯設備又は客に現金若しくは有価証券を提供するための装置を有する遊戯設備を設けないこと。
その他にも細かい規制がありますので、物件の選定、設計前の段階でご相談いただけたら幸いです。
アミューズメントカジノバーの許可申請についてのまとめ
アミューズメントカジノバーの開業は、飲食店営業許可に加え風俗営業5号許可の申請(場合によっては1号許可も)という、許可申請のための書類がかなり多く、手間のかかるものになります。
開業準備をしながらこれらの準備をすすめるのは難しいと言えます。
弊所ではお忙しい事業者様に代わって書類の収集、図面の作成、警察との折衝を承らせていただいております。開業をお考えの方は、ぜひ一度ご相談いただけたら幸いです。
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