2015年6月の法改正によって風俗営業からダンスが除外されました。
それに伴い改正風営法の新しい許可が必要となったナイトクラブやライブハウス。
なにをする必要があるのか?を分かりやすく解説していきます。
クラブやライブハウスの営業を始めるためには
クラブやライブハウスなどのの営業を始めるためには「特定遊興飲食店」という許可が必要です。
深夜(午前0時から6時)の間に、ダンスやカラオケなど不特定の客に遊興をさせながら、酒類を提供する営業ができる制度です。2016年6月に施行された改正風営法で規定されました。
午前6時から翌日0時になる前の時間に営業を終える場合には、この許可は必要ありません。
特定遊興飲食店とは
特定遊興飲食店とは、店舗や施設等、営業のための設備を設けて客に遊興をさせ、深夜(午前0時から午前6時まで)に飲食を提供する営業形態のことを言います。
具体例としては、クラブ、DJイベントなどの催しを定期的に行うバー、ライブハウス、ショーパブ、スポーツバー、ダーツバーなどがあげられます。
繰り返しになりますが、これらの業種であっても、深夜0時を超えない時間帯であれば特定遊興飲食店の許可は必要ありません。現在、特定遊興飲食店の許可を取って営業しているお店の大半がクラブになります。
特定遊興飲食店の条件
- 深夜(午前0時から午前6時まで)に営業をすること
- 客に遊興をさせること
- 客に飲食を提供すること
- 設備を設けていること
これらの条件を満たすのであれば、特定遊興飲食店の許可を受けなければならないということになります。
遊興をさせるとは
「遊興をさせる」という言葉は、普段使うものではなく、聞き慣れないものだと思います。遊興をさせるとは「営業者の積極的な行為によって客に遊び興じさせること」とあります。状況や解釈によっていくらでも広く意味が取れそうな言葉ですので、具体的な例を列挙したいと思います。
- 不特定多数の客のために歌を歌ったり踊りを見せること
- 生演奏を客に聞かせること
- イベントや催し物を企画、開催すること
- カラオケ機器を設置し、不特定の客にカラオケを勧め、合いの手を入れたり褒めはやすこと
- スポーツなどの映像を不特定の客に見せて応援させること
などがあげられます。
営業者側が働きかけて、積極的にダンスやカラオケを勧める行為が遊興をさせることに該当するのであって、単にカラオケ機器を設置しているだけといった場合や、テレビ等の動画を流しているだけであれば遊興をさせることには当たりません。
また、継続的に営業を行うことが条件となっており、短期間のイベントやフェスなどは特定遊興飲食店には当たりません。そのため、結婚式の2次会などを飲食店で催すような場合には、単発的なものなので該当しません。
大きなスポーツの試合などがある日に、たまたま遊興させるような状況になったとしても、反復して行うものではないため、特定遊興飲食店には当たりません。
遊興をさせる、とは不特定の客に対して行うものであり、特定少数の客に対して行うものは接待行為となり、キャバクラやホストクラブの風営法1号許可が必要となります。
特定遊興飲食店の要件
人的要件
人的要件は、風俗営業の許可要件と同様です。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられ、またはこの法律で定める一定の罪を犯して1年未満の懲役、もしくは罰金の刑に処せられ、その執行後または執行を受ける事がなくなった日から5年を経過しない者
- 集団的に、または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤の中毒者
- 風俗営業等の許可の取消処分を受け5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
- 精神機能の障害により、風俗営業の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
詳しくは風俗営業の許可要件のページをごらんください。
場所的要件
特定遊興飲食店営業が可能なエリアは、各都道府県の条例によって定められています。
例として、大阪府における特定遊興飲食店の営業が可能なエリアを挙げさせていただきます。
大阪市北区
・梅田1丁目(1番から3番および11番)・角田町(1番および5番から7番)・神山町(2番から10番)・小松原町・曽根崎1丁目・曽根崎2丁目・曽根崎新地1丁目・太融寺町・兎我野町・堂島1丁目・堂島浜1丁目・堂山町(1番から13番および16、17番)・西天満6丁目
大阪市中央区
・心斎橋筋1丁目・心斎橋筋2丁目・千日前1丁目・千日前2丁目・宗右衛門町・道頓堀1丁目(1番から10番)・道頓堀2丁目・難波1丁目・難波2丁目・難波3丁目・難波4丁目・難波千日前(1番から3番および10番から13番)・西心斎橋1丁目・西心斎橋2丁目・日本橋1丁目(2番、3番および18番から20番)・日本橋2丁目(5番にかぎる)・東心斎橋1丁目・東心斎橋2丁目
ただし、児童福祉法7条第1項に規定する児童福祉施設または医療法第1条の5第1項に規定する病院もしくは同条第2項に規定する診療所の敷地周囲おおむね100m(商業地域にあっては50m)の区域を除く
いわゆる繁華街が、特定遊興飲食店の営業が可能な地域となっています。
構造的要件
営業をする施設内についての要件です。下記の要件をすべて満たさなければ許可を受けることができません。
- 客室の床面積は1室につき33㎡以上とすること
- 客室の内部に見通しを妨げる設備がないこと
- 善良の風俗または清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告、装飾その他の設備を設けないこと
- 客室の出入口(営業所外に直接通じる出入口は除く)に施錠の設備を設けないこと
- 営業所内の照度が10ルクス以下にならないよう維持されるため必要な設備を有すること
- 騒音または振動の数値が一定の数値に満たないよう維持されるため必要な設備を有すること
許可の申請に必要な書類
- 許可申請書(別記様式第40号)
- 営業の方法を記載した書類(別記様式第41号)
- 営業所の使用について権限を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸借契約書・建物に係る登記事項証明書等)
- 営業所の平面図および営業所の周囲の略図
申請者が個人の場合
- 住民票(本籍記載のもの、外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
- 誓約書(法第4条第1項第1号から第10号までに掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面)
- 市区町村の発行する身分証明書
申請者が法人の場合
- 定款および登記事項証明書
- 役員に係る住民票(本籍記載のもの、外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
- 誓約書(法第4条第1項第1号から第9号までに掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面)
- 役員に係る市区町村の発行する身分証明書
選任する管理者に係る書類
- 誠実に業務を行うことを誓約する書面
- 住民票(本籍記載のもの、外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
- 市区町村の発行する身分証明書
- 誓約書(法第24条第2項各号に掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面)
- 管理者の写真2枚(申請前6月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の縦3.0センチメートル、横2.4センチメートルで裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの)
特定遊興飲食店の許可申請の流れと期間
特定遊興飲食店の営業を開始するには、まず飲食店営業許可の申請手続きをします。保健所による検査に合格した後、警察署に特定遊興飲食店営業の許可申請をします。
申請に先立って所轄の警察署に対して相談をし、必要な書類、構造や立地についての相談、確認をしておくと良いでしょう。
申請から2週間程度で店舗に環境浄化協会などの立ち入り検査が入ります。
許可までの日程ですが、不備等がなければ概ね55日前後で営業許可が下ります。
特定遊興飲食店営業の申請にかかる費用
管轄の警察署にて24,000円の法定手数料がかかります、この額はその他の風俗営業許可の申請においても同様となります。
飲食点営業許可をまだ受けていないという場合は、保健所への手数料が別途かかります。保健所への手数料は各自治体によって異なっており、16,000円から18,000円程度がかかります。
詳しくは飲食点営業許可についてのページをご覧ください。
当事務所では特定遊興飲食店の申請に対する報酬として、180,000円を頂戴しております。報酬額につきましても小規模店舗や立地といった関係でお安くさせていただくこともございますのでぜひ一度ご相談、お見積りお待ちしています。
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